Garage in Hanyu

September 2019

New built

羽生の車庫

三角の芯と辺縁

本計画はクルマ好きなヒトが集う週末住居である。クルマに囲まれ、語らう。クルマが主役となる週末住居ならぬ週末車庫のあり方を考えた。

計画地は埼玉県羽生市の住宅地に位置する10m×12.5mほどの整形地である。
諸条件を考慮すると、ここに集う数台のクルマをすべて建もの内に停めることは難しい。クルマは内に1台、他は外に停めることが本計画の前提となった。しかし、内外に分けられたクルマとヒトの関係をできる限り等しく扱いたい。そのためにヒトが集う場は、道路を含めた敷地の芯となる位置に、平面形は面を構成する最小単位でプリミティブな正三角形とし、そしてその形を等しく包む三つの辺縁をクルマの場とした。

建ものはその芯となる三角の一頂角を共有し、包括する相似の三角柱とした。芯の三角を除いた部分がクルマの場となる。敷地全体を劇場で例えてみると、芯の三角が中央舞台の三つ(一つは屋内、二つが屋外)の扇型劇場ができた形となる。舞台がヒトの場、背景と客席がクルマの場である。クルマが主役と意図した結果、主客は反転し、芯の三角に集うヒトが主役となる。そして背景、客席となる三つの辺縁のクルマに囲まれた舞台で主役は語らう。

屋根、外壁はクルマがもつモノコック構造にあわせ、同一素材(シングル材)で包み、内壁はクルマの駆動音を吸収し、仕上げ不要な木毛セメント材とした。天井は芯の三角領域を視覚的、心理的に補うように構造材を現しで配置した。

週末車庫という本計画において、ヒトとクルマのより心地のよい関係性を求め、その一つの答えを示したいと考えた。

所在地  埼玉県羽生市
用途   一戸建ての住宅
工事種別 新築工事
敷地面積 124.49㎡
建築面積 52.26㎡
延床面積 74.44㎡
構造   木造(軸組工法)
階数   地上2階
竣工   2019.09

設計監理 アソトシヒロデザインオフィス
構造設計 長坂設計工舎
施工   山崎工務店
撮影   佐藤周哉