House in Kotakemukaihara

November 2022

New built

小竹向原の家

間口と奥行

この建築は東京練馬区に建つ4人家族の住宅である。敷地は間口3.5m、奥行17mの60㎡である。とても小さく細長い形状で、3.5mの接道面と上空を除けば周囲は隣家に囲まれている。この特徴ある敷地に家族はこれからの暮らしを求めた。私たちは小さく細長いということを利点と捉え、この敷地だからこそ実現することができる豊かな住宅の在り方を模索した。

住宅の外形は限られた敷地面積を最大限活用するため、間口2.7m、奥行き13.5mとし、高さを含め集団規定の限界に構えた。内部は間口方向の分節と奥行き方向の統合を繰り返す構成とした。間口方向へは、地となる白色の仕上げとは異なる木現しの仕上げを設え、13.5mもの長い空間を暮らしの機能別に緩やかに分節する。分節がその場の行いを安定させ、距離を適度に保つ。奥行き方向へは、白色の仕上げと様々な用途のカウンターを長く連ね、分節した暮らしの機能を滑らかに統合する。統合が暮らしに広がりを与え、家族の気配や視線、光を各所へ伝える。

この分節と統合の繰り返し、さらに前面の道路と空の抜けを援用し、内部に連関させることにより、小さく細長いからこそ現れる、豊かな景色が広がる住宅となった。

所在地  東京都練馬区
用途   一戸建ての住宅
工事種別 新築工事
敷地面積 60.06㎡
建築面積 35.91㎡
延床面積 68.17㎡
構造   木造(軸組工法)
階数   地上2階
竣工   2022.11

設計監理 アソトシヒロデザインオフィス
協働   平井直樹建築設計事務所
構造設計 長坂設計工舎
施工   宮嶋工務店
写真撮影 松井進